ライカM9の凄みは、この価格を超える。
カメラ初心者の私にも、ライカM9で撮れた写真の質が格別に良いことがわかります。その驚きに、日々カメラを持つ生活が始まり、このカメラは趣味性が高いことに気づくのです。そのすごさゆえ、高画質の理由や性能を調べてしまうのですが、はて? 超初心者の私には、カメラや写真の専門用語が乱立し意味不明。そこで今回は、少しでもわかりやすく咀嚼してご紹介します。
ライカ (Leica) ってなぜそんなに有名なの?
そもそも、ライカってよく聞くけど、なんでそんなに有名なの?って思ったことがあります。そのため、ライカについて、簡単にご紹介します。
ライカの功績
ドイツの光学機器メーカー、ライカ。大きく重いボックス型のカメラが主流だった1900年初頭、35㎜フィルムを使用する小さいスチールカメラを、世に生み出しました。これにより、戦場の撮影を可能にするなど、報道業界に革命をおこしました。
なお、現在に至るまでカメラの原型はほぼ変わりません。さらにこのライカのカメラ革命により、一般庶民がカメラを使えるようになったのです。
ライカのこだわり
ライカは、一台一台のカメラに独特の特徴を持たせ、こだわりの製品を世に生み出しています。
ちなみにそのこだわり度合は、例えば、この時代に白黒写真のみ撮れるカメラや、フィルムカメラを製造するなど。そのため、カメラに興味がない人から見るともう「変態」とも言えます。
そのこだわりゆえ、ライカのカメラでは、お気に入りの一台を何年にもわたって楽しむことができ、 自分の腕の進歩を実感できます。
そのうえ、写真のプロも使う高品質機材です。したがって、少々上達しても自分の腕がカメラの性能を超える心配をすることなく使い続けることができ、なお深い愛着を持つことになります。
そんな長く使用できるライカには愛用者が多く、情報の入手が容易でかつ友人ができやすいです。ちなみに外出先でも、カメラについて話しかけられることがあるほど。
確かに高価ではありますが、ただブランド料が加算されただけの製品ではないことが分かっていただけると思います。
なお先述した通り、現代の一般人が使うカメラを作りだしたのは、ライカと言っても過言ではない。長く引き継がれた歴史と格調、そして独特の特徴から、このカメラは有名になったのです。
外観のメカメカしさ、重みが満足感と緊張感をうむ
ライカのM型カメラは、フィルム時代からその外観を大きく変えていません。そのため、いまだに高貴な重厚感を放っています。そして、それを手にした時、綺麗なドレスを着てきちんと化粧をしハイヒールを履いた時のように、背筋が伸びるような緊張感が得られるのです。
家電製品のような丸っこいフォルムのカメラが多い昨今。一方、メカメカしさの残るライカカメラは、持つ者に最大級の満足感を与えます。
そのうえカメラボディは、普段使いはもちろん旅行にも適したサイズ。それゆえ、ちょっとした買い物でさえ手にするほど、日常生活の中で趣味を楽しめます。
私は、ライカM型カメラを持つと、無意識に一枚一枚丁寧な撮り方をしています。そして、デジカメを持って以降失いつつあった緊張感が、よみがえってきます。
ライカM型はレンジファインダーカメラ
ライカM型は、レンジファインダーカメラです。なお最近流行りの一眼レフとは機構が異なります。
一眼レフ
レンズと像影面の間にミラーがあります。すなわち、レンズから入った映像をミラーで反射させて、光学ファインダーで確認することができるカメラです。
ちなみにデジテルカメラの時代になると、ミラーレス一眼レフが出てきました。つまりミラーがなく、電子ビューファインダーで撮影像を確認できるものがあるのです。
レンジファインダー
ミラーがなく、光学視差式距離計が搭載されています。撮影距離を計測し、それに合わせてレンズの焦点を決めます。そのため、デジカメでも、撮影終了までは映像が確認できません。
そしてミラーがない分、レンジファインダーカメラは、一眼レフよりボディをコンパクトにできる利点があります。
ただしレンジファインダーは、めんどくさいです。すべてオートで撮ってくれるカメラのほうが、ずいぶん便利です。
でもライカM9を持ってみて、気づきました。ここ数年フルオートのカメラを使い、丁寧に撮っていたつもりでも、実は緊張感が少なかったことに。
自分であれこれ考えたうえで、一枚を撮る。この重みに気づいたのは、レンジファインダーだからでしょう。
ライカM9 の特徴は小さいボディにフルサイズCCDローパスレスイメージセンサ
Leica M9の最大の特徴です。
一眼レフより格段に小さいボディで、フルサイズのしかもCCDイメージセンサを搭載しており、ローパスレスという画質へのこだわり。
ここではて?フルサイズ?CCDって?ローパスレスって何?となる私。
センササイズ
デジタルカメラのセンササイズは、主に大きいほうから、
中判デジタル、35㎜フルサイズ、APS-C、フォーサーズ、1インチ、、、、
とたくさんあります。
なお、センササイズは大きいほうが取り込める光量が多くなります。とくに夜の撮影に強くなり、また背景のボケを楽しむことができます。ちなみに1/3センササイズのスマホで撮った写真と、フルサイズセンサのM9で撮った写真の比較しました。最近スマホはすごいので、このサイズでの表示でしたら十分な画質です。
しかし、少し引き延ばすとこんなに差がでます。そのため、カメラを買う時にはセンササイズも、重要なファクターとなります。
CCDとCMOS
デジカメのイメージセンサには、主にCCDかCMOSセンサが使われています。
なおイメージセンサは、レンズから入ってきた光を電荷に変換し、電気信号として出力し画像にします。CCDとCMOSでは、その過程が異なります。
CCDセンサは隣り合う各ピクセル同士で電荷を送りあいます。したがって、全体が滑らかな画になり、 相対的に感度がよく画像のゆがみ(ノイズ)が少なくなります 。イメージは水彩画です。ただし構造上、高価になります。
一方、CMOSセンサは、各ピクセルが独立して画を描きます。極端に言うと、ファミリーコンピュータの時代のドット画です。しかし安価なため、現在の主流となっています。
Leicaは、M9でCCDセンサの利用を最後とし、それ以後に発売されたカメラはCMOSセンサ搭載になりました。それゆえCCDセンサ搭載のライカカメラは貴重です。
ローパスレス
ローパスレスというのは、偽色やモアレを低減する「ローパスフィルタ」を付けていないことを意味します。偽色やモアレとは、細かい連続線や格子などを撮影する際に、実際と違う色や網模様が出る症状のこと。つまりフィルタをつけていない分、写真の解像度が保たれるという大きなメリットがあります。
ライカM9で撮影した写真は、少しくらい細かい網目でもモアレは出ません。でしたら、フィルターなしで高画質のほうが良いのではないでしょうか。
要するに、小さいボディで、フルサイズCCDイメージセンサ搭載かつローパスレスということは、持ち運びがしやすい上に圧倒的な高画質の写真が撮れるカメラということです。
ライカM9 の操作性や機能
マニュアルカメラは、その操作を通してカメラの仕組みを基礎から学べ、趣味としてじっくり習得するには最高の一台です。オートフォーカスカメラに比べると、最初はうまくいかないことがあり、もどかしさもありますが、その分得られる達成感が大きいです。
ライカM9の操作性
M9の操作性は良く、直感的に扱うことができるシステムになっています。
基本的にそれだけです。
そして慣れてきたら、撮りたいイメージに合わせて、シャッタースピードや絞り、感度などを選択して色々楽しみます。ここからさらなる楽しみが始まります。
ライカM9の機能
M9の機能はさまざまありますが、細かい機能はオプションと思ってよく、とくに使わずとも良い写真が撮れます。
露出
M9には、シャッタースピードをオートにした際に、簡単に露出補正ができる機能があります。カメラ裏右側の、選択ボタンの周囲のリングを回します。なお、これは重宝します。
露出とは、レンズの絞り値とシャッタースピード、感度の選択により、フィルムやセンサーに当てる光量のことです。それにより撮れる写真の明るさが変わります。マニュアルカメラでは、撮りたい写真のイメージと周囲の光量によって、自分で露出を決めます。
露出設定の練習に最適
Leica M9では、先の述べたフルサイズのCCDセンサ、ローパスレスのため、仮に露出設定を失敗し少々暗い写真になってしまったと思っても大丈夫です。後でPhotoソフトで明るさ等を調整すると、データはしっかり残っていて、綺麗に画像を再現できます。暗くて人間の目に見えていないだけで、階調滑らかに高解像度で撮れているのです。
ちなみに、露出アンダーの写真を編集ソフトで明るくしたとき、まっ黒に見える部分にも情報が残っていて再現されます。
M9では、シャッターを半押しすると、ファインダー内に赤文字でシャッタースピードが表示されます(設定が必要)。
そのため、これで露出の感覚が徐々に分かってきます。すると、シャッタースピードも自分で選択して、より自分好みの写真が撮れるようになります。またM9では、シャッタースピードをマニュアルにしても、ファインダー内で三角印▷や◁、〇で露出のバランスを教えてくれます。
高性能レンズが粒ぞろいの単焦点レンズ
ライカM型には、充実したレンズのラインナップがあり、飽きることなくチャレンジが可能。なおLeica純正レンズはもちろん、フォクトレンダーのレンズもおすすめです。M型カメラではレンズが共用できます。
ちなみに個人的には、最初は標準と言われる50㎜レンズ、もしくは少し広角の35㎜レンズで感覚をつかむことをお勧めします。なぜなら、人間の目で見えている像と近い倍率のため、感覚がつかみやすいからです。
なおM9は、渋い写真が得意といわれます。オールドレンズで撮れる優しい写真が好きだな、と個人的に感じています。
ここでもフルサイズセンサーによる恩恵があります。ライカのM型レンズは、フルサイズフィルムを基準として設計されているため、カメラの設計通りの特徴を生かすことができます。
なお、オールドレンズでは、写真周辺の減光が良い味をうんでくれます。
RAW画像
ライカM9では、 JPEGの他にRAW画像が保存できます。ファイルは重くなるものの、撮影時のすべての情報を記録してくれています。なお、JPEGは、カメラがRAW画像を自動処理しています。そのため、JPEGとRAWを比べると情報量には圧倒的な差があります。
さらに、RAW画像の処理をPCで行う、つまり、フィルムの現像作業に近いものを自身の手でできる面白さが加わります。
フィルム時代に現像室を持つことなど到底できなかった私には、たまらない楽しみを与えてくれます。
ちなみに、極端な現像を施したものとの比較。
最後に
LeicaのバルナックⅢfに沈胴エルマー50㎜をつけて楽しんだ頃からこの20年。フィルムカメラが消えゆく悲しみにカメラへの興味を失いつつありました。
縁あってLeicaのデジタルカメラに出会いました。さすがのLeicaの写りに、やはり唯一無二の存在と再認識。あの頃のM型レンズを再稼働させるに至ります。
ライカカメラを持つと、丁寧に撮らねばならない感覚になります。カメラは何もしてくれない。どんな写真をどのように撮るか、同現像するかは自分で決める。だけどデジタルだから、試し撮りをしながら気楽に学べるありがたさに喜びを感じます。そして、再びライカの趣味の世界にどっぷりはまっていってしまうのです。
それゆえに、カメラに興味がない人からすると、ライカを持った人は煙たがられる存在になることも、自覚しておかなければなりません。
人生で一度、ライカが得意とするM型カメラ、ひいては、M9を使ってみませんか。
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