世界トップレベルを誇るシンガポールの学校教育。学生の頃は言われるがままに宿題をして満足していました。シンガポールの教育を知ると、特に日本の夏休みの宿題である自由研究や工作には、生きる上で大切な力を身に着ける要素があることが分かります。もう毎年研究や工作のテーマに迷うのは嫌だ!という方にもお勧めの記事です。
シンガポールの教育水準
イギリスのQS社発表の2020年世界の大学ランキングにおいて、シンガポール国立大学と南洋理工大学がそれぞれ上位にランクインしています。ちなみに東京大学は23位、京都大学が33位です。
シンガポールの教育水準はアジアトップと言われています。
順位 | 大学名 | 国 |
---|---|---|
1 | マサチューセッツ工科 | アメリカ |
2 | スタンフォード大学 | アメリカ |
3 | ハーバード大学 | アメリカ |
4 | オックスフォード大学 | イギリス |
5 | カリフォルニア工科大学 | アメリカ |
6 | チューリッヒ工科大学 | スイス |
7 | ケンブリッジ大学 | イギリス |
8 | UCL | イギリス |
9 | インペリアルカレッジロンドン | イギリス |
10 | シカゴ大学 | アメリカ |
11 | 南洋理工大学(NTU) | シンガポール |
12 | シンガポール国立大学(NUS) | シンガポール |
13 | プリンストン大学 | アメリカ |
14 | コーネル大学 | アメリカ |
15 | ペンシルバニア大学 | アメリカ |
16 | 清華大学 | 中国 |
17 | エール大学 | アメリカ |
18 | スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL) | スイス |
18 | コロンビア大学 | アメリカ |
20 | エジンバラ大学 | イギリス |
シンガポールでは、公立でも小学6年生でテストを受け、その順位によって中学校のレベルが分けられます。高校卒業後は大学進学用プリスクールに通い成績優秀者のみが大学へ進学できます。
教師にも厳しいテストが存在し、特にシンガポールの学生の数学、読解力、科学の成績は世界トップクラスです。
ねぇねぇ、どうしてシンガポールの学校はそんなにすごいの?いったいどんな勉強してるの?
それはね、国の教育システムが充実しているからなんだって。
シンガポールでは、小学校退学試験があるよ。卒業年の試験に合格できないと小学校を退学することにもなるかも。そしてその先もずっとさまざまなテストがあって、人それぞれ、進路も進学速度も変化していくよ。
授業内容もずいぶん違うんだ。これはいいな、と思った日本でも取り組める授業をひとつ、教えるね。
答えのないテーマについて長く研究する
アメリカとシンガポールに住んでみると、居住国の人々が発想力、討論、課題解決力に長けている点に気づきます。
彼らの学校では幼い頃から、自分で考え、論議を交わし、課題解決を行う訓練をしています。
中でも特に感心し、日本の小中学生でも取り入れることができ、子どもたちの力になることが間違いなく、親にとっても勉強になるであろう取り組みをご紹介します。
「答えが明確でないテーマについて数年を通して研究し結論を発表する」
シンガポールのとある学校では、小学生、中学生をとおして、1つのテーマについて研究を続け発表していく授業があります。個々の授業(算数、国語、理科、社会など)においてもその折々に授業内容がテーマとどう関係するかを考える場面があります。
そして1年間の終わりに研究テーマについて個々にまとめ討論し、卒業年にはすべてをまとめて研究発表会を行います。
こうして彼らは、生涯を通じて学ぶ術 を身に着けていきます。
夏休みの自由研究や工作を通して力をつけよう
こんな素晴らしい学習を、日本でも実践できる良い機会があります。夏休みの宿題です。
夏休みの自由研究や工作を小学校6年間通して同じテーマで研究を続け、そして小学6年生になったら、1年生からの研究をまとめて、自分なりの答えを見出だし発表するのです。
- STEP1大きなテーマを一つ決める
- 明確な答えがわからないテーマが最適
- 答えをYES,NOで示すことが出来るテーマがおすすめ
- STEP2大きなテーマに沿って今年の小テーマを決め研究
工作など、夏休みの宿題を利用する
- 日々のテーマに関して考え、周囲に目を向けることが重要
- 大人との対話、討論も支えになる
- 毎年小テーマの結論を出す
- STEP3卒業年に大きなテーマの答えとその理由を発表する
これまでに積み重ねてきた研究内容をまとめて大きなテーマの結論を発表
STEP1 大きなテーマ
STEP1の大きなテーマは、例えば
など。
お子さんの興味に沿ったテーマで、現時点で明確な答えのないものを見つけることが大切です。
STEP2 大きなテーマに沿った小テーマを決め、研究
STEP2として、大きなテーマに関する小テーマを設定し、各学年で学んだ授業を活用して部分ごとに年々研究していきます。
1年生では地球ってどんなものか、星ってどんなものがあるか、どんな生物がいるか、今地球上にある乗り物にはどんなものがあるか、などを研究する程度になるでしょう。
学年を重ね、例えば電気について学んだらモーターについて研究や作成をする。
追々、乗り物を制御するシステムのプログラミングについて、時間とは何か、宇宙の起源、生物とは何か、地球や人間の歴史、機械のしくみ、など、年を重ねるごとに様々なことを学び総合的に研究を進めていきます。
ここで大切なのは毎年 答えを出す ことです。正解がないテーマなので答えは何でも良いのです。
答えを出すには、研究を通してその 理由 を明確にすることが重要です。
その答えと理由を導き出す過程において、自分なりの回答に到達するためにはどのような研究が必要か、課題を抽出し、研究手順を踏んで自然と学んでいくことになるでしょう。
STEP3 卒業年に大きなテーマの答えとその理由を発表する
STEP3で、最終学年、これまでの数年分の研究を通じて得られた結論を発表します。
毎年毎年、自由研究や工作のテーマに困っているなら、試してみてはいかがでしょうか。
継続して学ぶことで、テーマについて広い視野を持つことができます。夏休みに限らずテーマに関することにアンテナを張ることが出来るようになると、よりお子さんの強みになるでしょう。
理系文系に関わらず、広い視野を持ち、論理的な考え方、課題に対する取り組み方、人との対話から学ぶ術を小さい頃から身に着けると、難題にも対峙できる大人になります。
現代ではお手頃価格で天体望遠鏡が購入できるんですね。
最後に
こういったカリキュラムを行うには、先生にも力があることが要求されます。答えが明確な問題を教えるよりも、はるかに難しい指導力が必要です。先生たちも努力を続けています。
ちなみに人生、良い大学に行くことが目的ではありません。でも人間が生きていくために、基礎教育はとても大切です。
宿題を終わらせることが目的にならないように、宿題の意味も親子で一緒に考えて実行できるとより有意義な休日となることでしょう。
大人になってからでも決して遅くはありません。なにごとも本質をとらえて取り組むことで効率よく的を射た結果をもたせるでしょう。
あぁでもやっぱり、夏休みのある あの頃に戻りたい。
コメントやアドバイスをいただけると嬉しいです。