熊本城と並び、熊本市内の定番観光スポット、水前寺公園。
古くから地元の人たちから愛される風光明媚な庭園です。
晴れた心地の良い日には、熊本城と合わせて、この水前寺公園への訪問がおすすめです。
四季折々姿を変え、とくに春は桜の名所として知られています。
また、古今伝授の間や能楽殿など歴史ある建物も点在。
静かな池を眺めながら、心を休め、清らかでゆったりとした時間を過ごせます。
そこで今回は、この水前寺公園の背景や見どころを、それらにまつわる背景とともに、ご紹介します。
- 水前寺公園は、熊本藩主の細川家ゆかりの風光明媚な回遊式庭園で、20分で1周できます
- 熊本市電で「水前寺公園駅」から徒歩4分、市街地の「通町筋駅」からは約20分で到着できます
- 歴史や伝統が色濃く残る神社や能楽殿、流鏑馬などの季節行事も見もの
- 古今伝授の間から圧巻の景色を望みながら、江戸幕府へ献上された細川家秘伝の伝統菓子「加勢以多」を堪能しましょう
- 熊本が誇る貴重な肥後六花のうち肥後朝顔が見られるのは年2回の午前だけ!
水前寺公園の歴史と概要
正式名称は、水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)といいます。
ただ地元では、古くから「水前寺公園」の愛称で親しまれています。
ちなみに熊本出身の演歌歌手、水前寺清子さんの芸名も、この庭園に由来しています。
この名園は、阿蘇の伏流水が湧き出る池を中心に、桃山様式の回遊式庭園として造られました。
なお回遊式庭園とは、園内を巡りながら鑑賞することを目的とした庭園のことです。
約7万6000平方メートルの広大な敷地に広がり、20分ほどで一周できます。
- 表参道鳥居
- 出水神社本殿
- 神水「長寿の水」
- 能楽殿
- 流鏑馬の馬場
- 古今伝授の間からの庭園景色
- 社務所からの庭園の景色
- 古今伝授の間
- 湧水池と富士山
- 成趣園池の朝もや
- 御祭神細川忠利公銅像
江戸時代初期の1636年、熊本藩主の細川忠利が、この地に御茶屋を造ったことが始まりとされています。
その後、3代目藩主の綱利の時代に現在の形になったと伝えられており、1929年には国の名勝および史跡に指定されました。
ちなみに、最初は熊本城を築いた加藤清正から、肥後国を預かるというスタンスで統治し始めた細川家。
近代においても多くの政治家や文化人を輩出しており、代表的な人物に細川護熙 元内閣総理大臣がいます。
細川家について知ると、水前寺公園をより楽しめます。
水前寺公園の見どころ
参道
水前寺公園を訪れたら、まずは参道の散策がおすすめです。
約100mの参道には、土産物店が軒を連ねています。
そこにはどこか懐かしさを感じる昭和の雰囲気が漂っています。
熊本名物のからしれんこんや球磨焼酎など、ご当地の味を堪能できるお店も多数。
とくに、店先から湯気が立ち上るいきなり団子は外せません。
参道にはベンチも設置されているので、名物グルメを味わってみてください。
またそれぞれの店で、熊本の特産品も販売しているので、お土産探しにも最適です。
庭園
入り口でチケットを購入し入園します。
朝は静かな公園にすがすがしい空気が流れており、誰もいない日本庭園は幻想的です。
水前寺公園は、園内を流れる清らかな伏流水と、東海道五十三次の風景を模した見事な和風庭園が特徴です。
とくに、園の中央にそびえる富士山を模した築山は圧巻で、まるで歌川広重の浮世絵の世界が広がっているかのようです。
また浮石、松の木、芝生など、園内のあらゆる要素が東海道の風景をイメージして造られており、優美な日本庭園の粋が凝縮されています。
熊本市は「水の都」と呼ばれ、市内の水道水は地下水でまかなわれています。
そして公園の中央にある池の水も、阿蘇山でろ過された雨水が地下水となり湧き出したもの。
その水質の良さから、環境省の名水百選にも選ばれています。
出水神社
水前寺公園には、立派なしめ縄が施された、細川家ゆかりの神社「出水神社」があります。
賽銭箱には細川家の家紋が印されていますね。
神社の参拝の作法などは、分かりやすく掲示されているので心配無用です。
神社内には、光復碑(復興記念碑)のほか、さまざま記念碑があります。
拝殿南西側の五葉松は数百年の古木です。
西南戦争後の1878年に創建された出水神社には、細川家歴代藩主とガラシャ夫人が祀られています。
第二次世界大戦で焼失後、1973年に再建されました。
ちなみに境内には、長寿の水と呼ばれる霊水があり、多くの人が訪れます。
また正月には初詣客で賑わいます。
春と秋の祭典では、流鏑馬(やぶさめ)式、献茶式、能楽式などの奉納があり、駆け抜ける馬から矢を放つ姿は圧巻です。
能楽殿
園内にある「能楽殿」は、毎年8月の夏祭りで薪能が奉納される、歴史ある舞台です。
夏の夜、周囲にかがり火を焚き、演じられる能楽は、崇高で厳か。
なお日本でも屈指の古さを誇り、多くの観光客をも魅了する人気イベントです。
古今伝授の間
水前寺公園内でひときわ目を引く茅葺屋根の「古今伝授の間」。
なんと400年の歴史を持つ由緒ある建物です。
京都御所から移築された後、現在は一般公開されています。
ここでは抹茶と茶菓子を楽しみながら庭園を眺めることができます。
この建物は、かつて桂宮智仁親王の書院を兼ねた茶室でした。
なお、戦国大名・歌人の細川幽斎が親王に和歌の奥義を伝授したことから、この名が付けられました。
ここで味わえる「加勢以多」は、江戸時代に幕府へ献上された細川家秘伝の伝統菓子です。
ほのかに甘酸っぱい風味が特徴で、庭園の風景とともに味わえば、まるで江戸時代にタイムスリップしたような気分を味わえます。
座敷席650円で、お茶とお菓子がついています。(2023年時点)
古今伝授の間は、歴史と伝統を感じつつ、美しい庭園を堪能できる、おすすめの休憩スポットです。
関ヶ原の合戦で、石田三成15,000人の兵に対し、たった500人で篭城した細川幽斎。
京都府舞鶴市田辺城の1本の松に「古今伝授の松」と命名し、その松が保管されています。
肥後朝顔はとても貴重でみられるのはほんの一瞬
肥後・熊本には、肥後六花といわれる、6種類の花があります。
1700年代に熊本藩6代藩主・細川重賢(1720-1785)が藩士の精神修養として園芸を奨励しました。
そうして江戸時代の肥後の侍がつくった、熊本独自の伝統花です。
当時は花びらが大きくて重なりが少ないことが美しさの基準とされていました。
そのため、肥後六花は、「大きな花芯」「純粋な花色」「一重咲き」などが特徴です。
なお、これらの、花・苗・種は、門外不出!
肥後朝顔涼花会が大切に種を守っています。
水前寺成就園は、この6つの花がすべて観賞できる、類まれな庭園です。
「小鉢本蔓一本作り」と呼ばれ、一鉢ずつ開花を合わせて仕立てています。
肥後六花の名称 | 開花時期 |
---|---|
肥後椿 | 2~4月 |
肥後芍薬 | 5月初旬 |
肥後菖蒲 | 6月初旬 |
肥後朝顔 | 7~9月 |
肥後菊 | 11月下旬 |
肥後山茶花 | 11~12月 |
そしてこの朝顔は、展示が行われる数日の午前中8:30‐正午の間しかみることができません。
ほかにも見どころが満載
水前寺公園には、歴史的な記念碑や稲荷神社、美しい広場や景色がたくさんあります。
四季折々の風景が楽しめ、何回訪問しても、その瞬間の絶景を満喫できます。
最後の熊本藩主の次男が日露戦争で戦死
水前寺公園へのアクセス
水前寺公園には、熊本市電 (路面電車) やJRで簡単にアクセスできます。
ちなみに熊本市電で「水前寺公園駅」で降りれば、徒歩すぐです。
さいごに
都会の喧騒を離れ、歴史と自然に包まれる。
水前寺公園は、そんな贅沢な時間を提供してくれます。
そして四季折々の美しい風景があなたを待っています。
熊本を訪れる際は、ぜひ水前寺公園で、心ゆくまで癒やされてください。
- 水前寺公園は、熊本藩主の細川家ゆかりの風光明媚な回遊式庭園で、20分で1周できます
- 熊本市電で「通町筋」から20分、「水前寺公園駅」下車、徒歩4分
- 歴史や伝統が色濃く残る神社や能楽殿、流鏑馬などの季節行事も見もの
- 古今伝授の間から圧巻の景色を望みながら、江戸幕府へ献上された細川家秘伝の伝統菓子「加勢以多」を堪能しましょう
また、水前寺だけでなく界隈100か所めぐりのガイドブックなども現地で配布されています。
ぜひ、周辺も含めて楽しんでみてください。
基本情報
住所 | 〒862-0956 熊本市中央区水前寺公園8-1 |
営業時間 | 3-10月 : 7:30 – 18:00(入園 17:30まで) 11-2月 : 8:30 – 17:00(入園 16:30まで) |
定休日 | 無休 |
料金 | 16歳以上400円 6歳~15歳200円 ※30人以上の団体1割引 ※障害者手帳をお持ちの方は16歳以上200円、6歳~15歳100円 利用可能時間 8時30分~17時00分(入園16時30分まで) |
アクセス | 市電「水前寺公園」下車 徒歩約4分 JR豊肥本線「新水前寺駅」下車 徒歩約10分 |
駐車場 | 近くの有料駐車場をご利用ください。 |
公式サイト | http://www.suizenji.or.jp/ |
気軽にコメントください!