大隕石孔バリンジャークレーターの神秘と巨大な衝突の痕跡を望む

バリンジャークレーターはメテオクレーター (Meteor Crater)とも呼ばれる隕石の衝突跡です。
フラッグスタッフから約60㎞東にあります。

さほど有名ではないですが、この規模のクレーターを見られることは珍しいです。
さらに見学に時間を要さないため、ルート66を東へ向かう際の観光地としておすすめです。

バリンジャークレーターとは

5万年以上前、直径約50mの巨大な鉄ニッケル隕石がアリゾナ州フラッグスタッフ郊外に衝突しました。
この衝突により、数マイルにわたって荒廃が広がり、深さ170m、幅1.2km近くの巨大なボウル型の空洞「メテオクレーター」が生まれました。

ちなみに5万年前の氷河期の末期、アリゾナは現在よりも寒く湿潤な時期でした。
そのため周囲は森林に覆われ、マンモスや巨大なナマケモノが草を食んでいました。

しかしこのとき、重量30万トンの隕石が、秒速12kmの速度で衝突しました。

その威力は、TNT火薬250万トンと同程度。
ちなみにこれは広島に落とされた原爆の威力の約150倍に相当します。

そして隕石は衝突の威力で溶け、霧状の溶融金属の霧となって地上に広がりました。
さらに地表の数百万トンの石灰岩は吹き飛ばされて砕け散り、溶けた岩石と隕石鉄の破片が混ざり合った砂物質が、1マイルにわたって地面を覆いました。

空中の塵が落ち着いた後、残ったのは幅1.2km、深さ225mのクレーターでした。
その後クレーターの底には湖が形成され、堆積物によりクレーターの深さは170mになりました。

そして氷河期の終わりとともに気候は変わり、地表は乾燥しました。
こうして今日は砂漠が侵食を抑制し、クレーターの形を保護しています。

バリンジャークレーターは、グランドキャニオンのふもと町、フラッグスタッフから車で40分ほど東に走った位置にあります。

とても分かりにくいので、アプリで現在位置を確認しながら走ります。

40号線から南へ入っていくと丘と建物、駐車場が見えてきます。
ただ、建物が見えてくるまでほんとにあるのか疑心暗鬼です。

到着すると意外と車が止まっています。
広大なアリゾナの大地にクレーターが口を開けています。

駐車してギフトショップを抜け、受付で入場料を支払います。
リムツアーや博物館、映画上映もあり、すべてを観るには約2時間が必要です。

併設のギフトショップではここに落ちた鉄隕石を購入することができます。
ココの隕石はさすがに本物だと思われます。

また天候が良ければガイドについて、クレーターの淵を見学できる無料のリムツアーがあります。
参加したい場合はガイド開始の時間に集合します。

ガイドさんについて、気をつけてリムを歩きます。

このクレーターは、外部からは丘のようにしか見えませんが、リムを歩いてみるとその大きさに驚きます。
しかし、フェンスなどがあるわけではないので注意して歩いてください。

なおクレーターは底まで歩いていくことはできませんが、少し降りたところに展望台が設置されています。
また各ポイントが観られるように望遠鏡が設置されています。

お土産屋のあったビジターセンターには、博物館が併設されています。
クレーターとは何か、バリンジャークレーターはどうやってできたのか、隕石が地球にぶつかる可能性は？など学べます。
なお展示物がメインなので、英語がわからなくても楽しめます。

ちなみにアポロに乗った宇宙飛行士が、ここで訓練を行ったそうです。
バリンジャークレーターが月のクレーターに似ていたからだそうです。

クレーターの展望台の望遠鏡で覗けたのは、バリンジャークレーターの底に設置した宇宙飛行士の模型（高さ2m）と月に立てたと言われる旗 (1 × 1.5m)　です。
肉眼では見えませんから、クレーターの大きさが実感できます。

テラスにはぽつんとアポロのテストカプセルが置かれています。
そして窓からは、アリゾナの平原が絵のように見えて素敵です。

ちなみにクレーターの外、周囲はとてつもなく広い大平原です。

アリゾナ州やユタ州はこのような平原が多く、どこで雨が降っているか見てすぐにわかります。
オープンカーで走るにはもってこいの地形です。

バリンジャークレーターは、単なる穴ではなく、地球の歴史と宇宙の神秘を解き明かす鍵となる貴重な存在です。
この壮大な自然の芸術作品は、これからも多くの人の心を魅了し続けるでしょう。

人生に一度くらいは自然の驚異をその目で見て、体験してはいかがでしょうか。