フィルムカメラの時代から写真を撮っていたなら、きっと気になるこのカメラ。デジタルカメラが台頭するこの時代に、なんとデジカメから背面モニタを除した、マニアックなカメラがあります。カメラを趣味にする方なら欲しくなる、Leica M-D (typ262) をご紹介します。
Leica M-D (Typ262) ってどんなカメラ
かつてフィルムカメラを使っていた人、写真を趣味にしてどっぷりはまっている人、新たなステップを踏みたい人におすすめのカメラです。
ライカM型カメラは、M9の紹介時にもお伝えした通り、ある意味「変態」なカメラです。プロの方が使用することや古くからのファンが多く、写真の質は格別、その分余計な機能は除されていたり、古めかしくメカメカしい造りをしています。
その期待を裏切らない、ライカ。このデジタルカメラの時代、2014年にLeica M-Aというフィルムカメラが発売され、当然液晶モニターや露出計、バッテリーもなく、フィルムカメラが好きな方に大人気となりました。
しかし昨今、フィルムが高価になり入手が困難、現像も大変です。
そこで2016年に現れたのが、Leica M-D (Typ262) です。
このカメラの最大の特徴は、デジカメでありながら背面モニタが無いこと。やっぱりライカは、変態です。
現代デジカメにあるべきと思っていた機能が無い、原点に立ち返ったカメラです。
Leica M-D (Typ262) の仕様
Leica M-Dは、背面モニタが無いことに加え、
「2400万画素、フルサイズCMOSセンサ搭載、ISO 200 – 6400、ファイルフォーマットがRawデータのみ、動画撮影機能なしの、レンズ交換式コンパクトレンジファインダカメラ」
です。もちろんライカM型レンズはすべて使用可能です。
今の時代、2400万画素って、少ないと思いませんか? iPhone11のカメラでも1200万画素あります。画質を決めるのは、画素数だけではありません。特に効いてくるのが、センササイズ。
フルサイズ (36㎜ ×24㎜) の規格を作ったライカ社は、わずか138.6 x 42 x 80 mm の大きさのレンジファインダカメラに、フルサイズセンサを搭載しています。その画質は自宅のPCではモニタの画質が下回り、良さが確認ができないほど。
スペックとしては申し分ないカメラです。
背面モニタがない Leica M-D (typ262) の特徴
「フィルムカメラをコンセプトとしたデジタル保存機能付きカメラ」
背面モニタがないのは、カメラの唯一の特徴であり、最大の特徴です。撮影画像をデジタル保存できるけど、コンセプトはフィルムカメラということです。
バッテリーの持ちが良い
もちろんデジタル撮影なので、カメラの起動や撮影にはバッテリーを使用しますが、バッテリーの持ちが格段に良いです。モニタがないため、小さなカメラを駆動しデータを保存するためだけに電力を使用します。
保存フォーマットはRawのみ、ソフトで現像
フィルムカメラをコンセプトとしたカメラ。保存ファイルは2400万画素のDNG(Rawまたはロスレス圧縮) のみで、カメラ本体でJPEGに変換保存されません。
フィルムカメラで撮影した場合、フィルムの現像が必要ですよね。それと同じことがデジタルで必要となります。
そのため写真を見るには、現像ソフトが必要です。無料の現像ソフトで良いものがあるので心配無用です。
私が使用しているのは、Photoscape X、無料版でも機能充実です。
背面にISO感度調整ダイヤル
カメラの使用方法もフィルムカメラに酷似しています。
モニタがあった場所にはISO感度が調整できるダイヤルがついています。
これにより、絞り、シャッタースピード、ISO感度が、自分の手で直感的に操作できます。
プロ仕様と同じ外観
Leicaのデジカメには、プロ仕様の外観と一般の外観がありますが、Leica M-Dはプロ仕様の外観のみです。
本体は黒のみ、マグネシウムダイキャストのフルメタル製、上蓋と底蓋は真鍮製にブラックラッカー仕上げです。
そしてカメラ本体上部に「Leica」の美しいロゴが刻まれ、カメラ前面の赤丸のロゴはありません。
「写真撮影」に特化した、シンプルなカメラです。
M-D (Typ262) の使用感
このカメラを使ってみて最初に感じるのは、撮影枚数が減っていること。
まず、モニタが無いので本体で撮影画像の確認、削除などは不可能です。
そのためか、いざ写真を撮る際、最近は失っていた、強い緊張感が生まれます。
そして、一枚一枚を丁寧に撮るようになります。
絞りはどうする?シャッタースピードは?そして露出はあっているか?ISO感度はこれで良いか。
こうして、家に帰って写真を取り込んでみると、枚数がとても少ないです。
その分、写真の完成度が上がっていることに気づきます。自分にとっての1枚1枚の価値が上がり、撮影時の記憶も明確に残り、そして大切な思い出の一枚になっていきます。
近年、デジカメでいかに無駄に写真を撮っていたか、よく分かりました。
是が非でもフィルム時代のオールドライカレンズを使用したくなるカメラです。
モダンなお店も一昔前の雰囲気に。
光の柔らかさの描写が素敵です。
渋い雰囲気のお店は、観たままに描写が可能です。
ギャラリー
最後に
デジカメに慣れていたが故の、新たな感覚を呼び起こすカメラ M-D。本当にモニタは必要ですか?
写真を趣味に始めた方、デジカメ撮影に慣れてきた方、フィルムカメラが好きな方、新たな一歩を踏み出してみませんか。
かつて、フィルムカメラ時代に、デジタル保存ができるフィルム型の媒体が出るのでは?と噂になりました。実際、バルナックカメラも未だ眠っているので欲しいのですが、やはりデジカメの便利さに屈しています。
だからせめて、 デジタルとフィルムカメラの良いとこどりのM-D (Typ262)。一押しです。
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